ロレックスの正規店は、今やデイトナランナー(スポロレランナー)にとって聖地巡礼の地のような存在になっています。近年はだいたい1~2都道府県に1店程度しかないので、正規店自体がレアなものになっています。
しかし、こう書くと、20代の若いデイトナランナーなどは驚くかもしれませんが、一昔前まで、ロレックスの正規店はそれこそどこにでもありました。そもそも、街の小さな時計屋だってれっきとした正規店だったのです。
現在でこそ10万人以下の都市に残るのは「三重の名店」ただ1店になってしまいましたが、かつて1万人以下の「村」にだって正規店はありました。
イオンの中に入っている時計屋だって正規店でした。
「クロックハウス」はその代表的な店ですし(クロックハウスで売られたステンレスデイトナやデイデイトを見たことあります)、それこそ田舎のイオンやダイエー、サティなどのショッピングモールに入っている地元資本の時計屋でもロレックスを扱っていました。
現在、ロレックスの正規店は資本力のある大型店、もしくは百貨店へと集約が進み、昨今、一段落したように思います。パテックに肩を並べようとしている・・・のかは知らないですが、高級化への足掛かりにしようとしているのでしょう。
しかし、かつては大衆的なブランドであり、比較的入手が容易だったのです。田舎の時計屋にだってサブマリーナーやGMTマスター2はあったし、なんならかつては超不人気モデルだったスポロレは、ショーケースの隅で埃をかぶっていたのです。
でも、そのころはみんなが「安く買える」並行店に目を向けていて、正規店なぞには目を向けませんでした。ある「元」正規店店主が言っていましたが、「正規で買うなんてあほらしい」と言われたことが多々あるそうです。
別の「元」正規店の店員が言っていたことですが、みんな正規店で買っていれば、もっと正規店が残ったかもしれません。しかし、それでは希少性がないわけで、みんな目を向けなかったでしょう。正規がなくなると、みんな正規に価値を求めるようになりました。そして、正規で買えたことがステータスのようになったというわけです。
わずかな期間で、価値観は変わるものです。