▼なぜ彼らは正規店で買うのか
ある時計店の店員と話をした。彼は勤務年数が非常に長く、ロレックスの人気の変遷をずっと見てきている店員だ。彼はいわゆるデイトナランナー、GMTマスターなどのスポロレのランナーをいたく嫌っている様子だった(というか嫌いなんでしょうけど)。
発言を要約して紹介しよう。
「要は彼らって、並行店より正規店が安いから買いに来ているだけ」
「並行店で買っていた人たちが、正規店に流れてきているだけ」
「安くなったら並行店に行くに決まっている。彼らに商品を売っても、店としては長い付き合いにはならない]
「だからレアモデルは出さない」
▼要は正規店で買うのが安いからランナーをやってる
この発言を暴言と取るか、正論ととるか。そのへんの判断はブログ読者に委ねたいと思う。
しかし僕はおおむね賛同する。
間違いなく、今のデイトナランナーは正規店に普通に時計が並ぶようになり、並行店の方が安くなったら正規店では100%買わなくなるだろう。というか、ロレックスそのものに興味がなくなる人も多いだろう。
彼らはスポーツモデルにしか興味がない。そして、わずか数年前、正規店に普通に並んでいた時代は興味がなかったくせに、レアになったから欲しくなったという人が多い。そして一部には、転売目的の人も含まれている。明らかにツイッターにいるランナーにも転売目的の人がいる(笑)。
正規店は、こうした客は歓迎していない。もちろん、公正、平等と言う建前があるから、ある程度は販売しないといけない。しかし店員としては面倒に思うだろうし、苦々しく感じているところだろう。
▼お得意様を優遇するのは当たり前
デイトナランナーの中には、「外商顧客を優遇するのはずるい」と言うバカがいる。しかし、正規店がお得意様を優遇するのは当然のことだ。
僕が秋田で良く会う某氏は、ロレックス購入歴15年、30代後半のイケメン社長だ。彼はロレックスが並行の方が安かった時代から正規一筋で買続けてきている。スポロレが今ほど人気がなかった時代に、GMTを買っていた(この時代は並行が半端なく安かった)し、一切他の店に浮気をせずに、信頼をずっと築いてきた。
だから今でも最優先でレアモデルが彼のもとにやってくる。ステンレスのデイトナは当然で、GMTマスター赤青、赤シード、グリーンサブなどなど。最近はスカイドゥエラーの青を買っていた。
あなたが仮に外商だったとしよう。
(1)一時的な人気に飛びついて、デイトナ欲しい、GMT欲しいと言って正規店を回るランナー。
(2)人気なかった時代から浮気をせずに同じ店でロレックスを買い続けている客
どっちにレアモデルを回したいと思うだろうか?
答えは明白だろう。
▼レアモデルさえ出してくれたら店員は誰でもいい
それにしても、デイトナランナーの中には、特定の店員を「感じの悪い女」と言って塩対応だと批判していたくせに、レアモデルを出されたら「女神」と呼んだ奴もいる。あまりの豹変ぶりに唖然とした。
このランナーは別の某正規店の店員を「眼鏡男」「奴」と呼んだりしている。レアモデルを出してくれず、塩対応されるから腹が立っているのだろう(確かに僕もこの店員は感じ悪いなあと思うのだが)。
しかし、この“眼鏡男”店員がレアモデルを出してくれたら「神様~~~~!!!!」と、これまた豹変するに違いない。実にわかりやすいではないか。
こういう客は、要はレアモデルさえ買えればどこの店だっていいのである。店員の接客など、ぶっちゃけどうでもいい。すなわち、店員を自販機程度にしか考えていない。ゆえに、店との信頼関係を築くことはできないのだ。時計屋にとっても、ブランドにとっても、まったくもってありがたくない客なのである。
こうしたランナーが増えていることで、店員が疲労困憊し、精神が疲弊し、塩対応になってしまっていることを、ランナーはいい加減に気づくべきだと思う。