かがり美少女の中の人ブログ

かがり美少女イラストコンテスト主催者の山内が、好き勝手なことをつぶやいています。最低最悪なクソな内容多し。今流行っている「自己責任」で読んでね( ^ω^ )。だから、たまに(いや、かなりの頻度で)嫌な感じのことを書きますが、ゆるしてニャン☆

ある時計店が、国産腕時計メーカーの製品を扱わない理由

 

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▼日本のモノづくりをリードしてきた腕時計

A時計店が、国産ブランドBの正規店になろうと真剣に考えた。

けれども「やはり扱えない」ということで、取扱いは断念した。店主は言う。

「製品の品質がそもそもスイスに劣っています。研磨の質を上げたり、精度を高めればいい時計ができると思っているのかもしれませんが、それは間違いです。僕はBの時計作りをずっと見てきましたが、その売り出し方にも疑問を持っているんです」

Bは、世界の時計業界をリードしてきた。“世界初”の新しい技術を開発してきた。その製品は世の中の人々を驚かせた。日本のモノづくりを象徴する一社、と言っていいかもしれない。

1970年代、Bは時計の常識を覆す新技術によって世界を席巻した。同社は60年代末、すでに機械式腕時計の精度で世界の頂点に立っていた。しかし、革新的な新技術の開発とともに、高級機械式腕時計の製造を休止。新技術の普及に舵をとる。一度は頂点を極めた機械式の技術を、過去のものとして、事実上、葬ったのだ。

 

▼技術革新で世界を席巻

新技術は、当初は金無垢の高級な腕時計に搭載された。はじめは高価だったが、量産化に伴い、どんどん価格は下がっていく。次第にサラリーマンや学生が買える価格帯になった。

「安くていいものを大量生産で提供する、これこそが70年代の日本メーカーの理想でしたからね」

ある意味、Bはそうした日本メーカーを象徴する存在だったといえるだろう。

日本メーカーの腕時計は世界を席巻した。そして、新技術の開発競争が起こった。スイスではそのスピードに追い付くことができず、廃業するメーカーが続出し、時計職人も6分の1ほどに激減したという。

スイスの時計メーカーCは経営が立ち行かなくなり、アメリカの企業によって買収された。同社は、Bが革新的技術を発明した同じ年に、機械式のクロノグラフを世に送り出していた。それはCの技術の粋を集めた自慢の機械だった。しかし、アメリカの企業によって製造中止を命令されてしまう。新技術の前に、歴史あるブランドも狼狽していたのだ。

 

▼技術の陳腐化と中国の台頭

順風満帆に見えた日本の腕時計産業だったが、80年代に入ると思わぬ形でスイスの逆襲が始まった。伝統的な職人技を生かす、機械式腕時計の職人技に注目が集まり始めた。快進撃を続けてきたBの歯車が、次第に狂い始めた。

それはそうだろう。新しい技術は、次々に新モデルを出し、技術革新をしていかなければならない。最近のデジタル家電、スマートウォッチなどもそうだ。最新の技術なんて少し時間が経てば陳腐化する。消費者の飽きるスピードは予想以上に早かった。

そして、中国が台頭してきた。思えば、Bの社屋がある諏訪は、戦前まで世界屈指の生糸の産地だった。それが中国の安い生糸によって駆逐された。Bが立ちあがったのも、生糸から時計へ転換し、街を再生させようという地元の時計店の熱意によるものだった。

しかし、同じ悲劇は繰り返された。

同社は窮地に立たされた。

 

▼何度も方針転換を繰り返す

方針転換を余儀なくされた。

88年、一度は消滅した同社の最高級ブランドを復活。

98年、同社はそのブランドで機械式腕時計を復活させた。

2017年、世界進出を本格化すべく、文字盤のデザインを変更した。

その間、Bは別ブランドで独創的な製品を作ってきたが、修理はすでに行っていないものも多い。

そういえば、日本を代表する家電メーカーのDが、一度は修理受付を終了した動物型のロボットを再び発売したが、過去の製品の修理は行っていない。このロボットも修理受付対応を終了したとき、ユーザーから批判があった。

時計も同様だと、店主は言う。

「高級腕時計を買う人は、一生に一本買うケースが珍しくありません。ところが、国産は部品保有年数もあいまいだし、次々に新しいモデルを出すから修理対応の期間が短くなりがちです。メーカーの都合で“修理ができない”と言われては、お客様が困りますよね。思い出はお金に替えられないものなのです」

「僕は国産が嫌いではないけれど、自信をもってすすめられない商品を扱うことだけは、したくありません」

 

▼日本とスイスの違いとは

A時計店は、店主自身が腕時計の修理技術者だ。さらに収集家でもあり、数えきれない本数を所有する。長年にわたりBも取り扱ってきたから、同社の歩みは誰よりもよく知っている。そんなA時計店が、Bを「思い付きで商品を作っている」と批判する。

機械式腕時計を復活させたのだって、スイスのメーカーが盛り上がってきたからでしょう。最近の世界進出やブランド化も、結局は、流行にのせられているだけとしか思えません」

「スイスのブランドは、Bが辞めている間も、地道に機械式腕時計を作ってきた。確かに、Bは研磨の技術などは優れています。ひょっとすると、良い腕時計を短い間で形にできるかもしれない。けれども、歴史と職人の厚みが違いますから、スイスに勝てるとはずがないのです」

私がそうであるように、A時計店も決してBが嫌いなわけではない。というより、Bが好きなのだ。Bの復活こそが日本のモノづくりの再生に繋がると信じて疑わない。エールを送っている立場にある。

それでも、昨今のBの世界戦略は迷走を極めていると、店主は言う。

「“モノはいいけれど、ブランド化が下手”というのが日本製品の代名詞。ずっと昔からそう言われてきたのに、まったく改善しようとしなかった。そのツケが回ってきているのです。日本はそろそろ、真のブランドを作って、安売り競争から抜け出さないといけないですね」