▼雛人形のお下がりはNGですって?
日本人形協会という人形屋の団体が、ネットにUPした漫画が話題になっています。曰く、「雛人形や五月人形は自分だけのお守りであり、子や孫に引き継ぐのはNG」だ、などとほざいているのです。
はあああああああああああああ~~~~~??????
雛人形は誰かに譲るのはダメで、不要になったら神社や寺で供養しろ、だと??!
バカじゃないの???
譲るのがダメなわけないでしょ!!!!!
日本の歴史ある旧家では、先祖代々受け継がれていた雛人形が飾られている例がたくさんあります。例えば京都の杉本家(住宅が重要文化財に指定されている)では毎年、受け継がれてきた雛人形の展示を行っています。もし日本人形協会が言うように、他人に譲るとダメなのであれば、これらの旧家は軒並み滅んでいることでしょう。
▼目先の利益しか考えていない
我が家の本家は神社ですので、モノは大事にしなさいと教わってきました。しかし、日本人形協会は真逆のことを言っています。
言うまでもなく、雛人形を譲っちゃダメだなという糞ルールはありません。マナー講座の講師が教えるインチキマナーみたいなもので、勝手に作り上げられた創作に過ぎないのです。
おそらく、和室がない家が増えているため、単に雛人形が売れなくなっているのでしょう。雛人形は放置していても数十年と長持ちしますから、譲られるとなおさら売れなくなってしまいます。協会はとにかく新品を買わせようと必死なのですね。
この漫画の悪い点は、霊感商法にも等しいやり方で雛人形の所有者の不安を煽った挙句、神社や寺で古い人形を供養させて新しいモノを買わせようとするセコさが感じられることです。かなり最悪です。
供養しなさいと言うと聞こえはいいですが、要は、遠回しに捨てろと言っているわけですからね。おまえらの利益のために神社や寺を利用するな!
▼雛人形を長く使える体制を整えろ!
僕は、わざわざインチキなルールをこしらえてまでして新しい雛人形を買わせるより、過去の人形をメンテナンスして、長く使える体制を整えて欲しいと思っています。
新品を買わせるのではなく、修理などのアフターサービスで利益を得る仕組みを作るべき、という提案です。
20世紀の日本企業は、次々に新しいものをリリースして買わせる手法で成長してきました。人々も使い捨ての文化こそが豊かさの象徴であると考えてきました。
そうした大量消費の時代が終わりを迎えつつあります。流行語になった“モッタイナイ”という言葉が表すように、使えるものを長く使うことが文化であるという考えに転換しつつあります。
日本人形協会はその模範となり、「人形を修理して、子、孫の世代まで継承しましょう」とでも言って欲しいものです。
▼なぜ日本のモノづくりは四流なのか
世界最高峰の腕時計ブランドのパテックフィリップは、創業時から生産した製品のすべてを修理すると宣言しています。親から子へ、子から孫へと受け継げる腕時計であることを、ブランドのイメージにしています。そうした姿勢が高い評価を受けているのです。
一方、使い捨ての文化から脱却できない点が、日本のモノづくりがいつまで経っても四流である理由だと思っています。日本は確かにいいものを作るのですが、世界から評価されるラグジュアリーブランドが生まれていないのは、そのせいではないでしょうか。
とりわけ、伝統工芸的な要素の強い雛人形の業界団体が使い捨ての文化を推進するなどということは、あってはいけないことなのです。
メンテナンスして長く使う。先祖の想いを次の世代まで大切に受け継いでいく。
これこそが、正しい雛人形の愛し方だと僕は考えています。

雛人形 久月 ひな人形 雛 ケース飾り 親王飾り よろこび雛 オルゴール付 A寿さくら図 柄 h303-k-4-38-abcd
- 出版社/メーカー: 久月
- メディア: おもちゃ&ホビー
- この商品を含むブログを見る