▼コンテンツツーリズムは地域活性化の秘策なのか?
近年、コンテンツツーリズムというものが流行りだそうです。
僕のところにも地方のお偉いさんから、「アニメを使えば町おこしになるって本当?」「オタクはお金を落としてくれるってマジ?!」という相談が、一時期ありました。
僕は、アニメを活用した地域おこしには疑問を持っています。結局、大企業から発信される文化に依存してるし、地域の頑張り以上に、アニメがヒットすることが成功のカギを握っているからです。
現在はアニメの作品数が多いため、聖地化されるのも早いけれど、飽きられて衰退していくのも早い(※注)と考えています。アニメの放送が終了しても、作品への深い愛を持ち続けられる人物がいなければ、継続は難しいでしょう。
結論としては、コンテンツツーリズムを検討してもいいとは思いますが、地域活性化の魔法のようになると考えるのはよろしくない。次々に新しい企画を打ち出していかないと、想像以上に飽きられるのは早いので、通常の地域活性化プロジェクトより難しいと思います。
▼多くの聖地巡礼者を集める地域の共通点
コンテンツツーリズムを語るうえで、よく聖地といわれる場所が以下の通りです。
・「ガールズ&パンツァー」の大洗
・「ラブライブ!サンシャイン!!」の沼津
共通点は、全部、アニメがめちゃくちゃヒットしていることです。
コンテンツツーリズムでは、きまって地域の商店街とか仕掛け人の頑張りがクローズアップされます。
しかし、鷲宮も、大洗も、秩父も、沼津も、アニメがヒットしていなかったら、ここまで話題にはなっていないでしょう。商店街の店主の人情や特産品だけで集客できただろうかと考えると、甚だ疑問です。
コンテンツツーリズムはアニメありきであり、アニメと一心同体の関係にあります。アニメの舞台になり、なおかつアニメがヒットしてくれないことには始まらないのです。アニメが流行らずして聖地ばかりが盛り上がった例なんて、ありません。
▼アニメ会社や広告代理店の頑張りにかかっている
千葉県鴨川市が某アニメで舞台になったにもかかわらず、いまひとつ盛り上がらなかったのは、単純にアニメが面白くな(以下略)・・・であったことが要因だと思います。NHK「クローズアップ現代」の聖地巡礼特集で「ここにバーンと絵を描いちゃえばいいんだよ」の発言が取り上げられたことだけが要因ではないのです。
来てくれるだけの作品のファンがいなければ、聖地は盛り上がらない。したがって、アニメ会社や広告代理店の頑張りこそがもっとも重要であると考えています。
もし、自治体が新しい聖地を作りたいのであれば、こうした企業との緊密な連携こそが不可欠なのです。
※注
埼玉県久喜市鷲宮は稀有な例です。「らき☆すた」が終わった後も、アニメを受け入れる場として比較的認知度が高いためです。増加はしていないと思いますが、一定数のファンが定着して、定期的に訪れているのです。
大河ドラマの放映後に一気に観光客減に悩んでいる地域などは、見習うべきといえるでしょう。